命みつめて2
2024/01/05 2024/05/15
11:00 ~ 17:30
休館日:毎週木曜日
日曜日15:00まで
2024/01/05 2024/05/15
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私は、私を知らない。おそらくこれは誰もが深層に抱えている不安、恐れであり、芸術、宗教、哲学が存在する故になっている。
人はその内奥に狂気とも言える野生的、原始的なエネルギーを宿している。理性では認めがたいそのエネルギーを現代人は一見、上手く飼い慣らしているかのように日常を過ごしているが、何かの拍子に、表層の裂け目からそのエネルギーは容赦なく噴出してくる。私の中の得体の知れない何かが抗しがたく溢れ出し、掻き乱してくるのだ。
おおよそ世の中の苦しみの根源は、このエネルギーとどう向き合うかに尽きるといっても過言ではないように思う。戦争、テロといった明らかな狂気はもちろん、家族や他者との不断(普段)の人間関係にいたるまで、ありとあらゆる苦しみの根を辿っていくと、この未知なるエネルギーに翻弄されている姿に帰 着するように思う。継ぎ接ぎの理性を身にまとい、何とか体裁を取り繕っているというのが現代人の実情なのかも知れない。
芸術は古来より、この人智を超えたエネルギーを源泉とした表現によって狂気、野生、原始を現前させる営みを綿々と続けてきた。そして表現を通して自らをみつめ、つかまえ、自覚することで「癒し」という自己存在の全体性の快復を実現してきた。生きるための「術」の実践、それが芸術の本来的な在り方なのだ。
命をみつめた時、つまり生と死という相反する矛盾に引き裂かれた時、その裂け目から世界はその深奥を覗かせてくる。自身の内奥に宿る未知なるエネルギーに慄きながら、私は命をみつめ、表現へと突き動かされていく。
平川病院〈造形教室〉
スタッフ・宇野 学
2024/01/05(金) 2024/05/15(水)
11:00 ~ 17:30
木曜日休館
日曜日15:00まで