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クシノテラス企画展

 かんじんなことは、
目に見えない 

開催期間
2020/09/20

2020/12/29

開館時間
11:00 ~ 17:30

休館日:毎週木曜日

いまだ世界各地で、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による感染症拡大が広がるなか、僕たちは長いSTAY HOMEを経て、ウイルスとの共生を図るため、新しい生活様式を取り入れようとしています。よく知られているように、人類と感染症の歴史は古く、ペストや天然痘、コレラなど歴史的な出来事として記述されているだけでも多岐にわたっています。

いっぽうで感染症の大流行は、人々の考え方や行動様式を劇的に変えるきっかけになってきました。奈良時代に流行した天然痘の感染終息を願って東大寺の大仏が建立されたり、14世紀のヨーロッパで流行したペストが封建社会崩壊の一因になったりしたように、感染症のパンデミックが世の中の大変革や進歩、社会の改善につながったとも言われています。しかし、パンデミックそのものが社会変革をもたらしたものではなく、実は「見えないもの」はそれまでも潜在的に存在しており、パンデミックによって加速し、露呈したに過ぎないのです。

振り返ってみると、感染症のような「見えないもの」との付き合いは、いまに始まったことではありません。とくに日本では古来より、見えないものを見ようとする文化がありました。邪気を払うための「節分」の風習や、ウイルスによる疫病を擬神化し、養生法や呪術により、これらの疫病神を退治しようとしていた歴史など、日常に見えないものを恐れ敬う暮らしがあったのです。そして現在でも、福島第一原発から漏れ続ける放射能や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)など、数え切れない「見えないもの」の脅威にさらされながら僕らは生きています。同時に、そうした得体のしれないものがもたらす漠然とした不安は、悲しいことに、常に人々の差別や分断を生んできました。

そこで本展では、「見えないもの」をテーマに創作を続ける人たちの表現をご紹介します。本展で紹介する人たちは、それぞれ独自の方法で「見えないもの」を可視化させ、その時代の空気を記録しておこうと試みています。「見えないもの」に対し想像力を巡らせることは、人間以外の生命を畏れ敬うことです。そうした想像力は、困難な状況においても、なお分断を乗り越え、人々をつなぎとめるための想像力にほかならず、現在そして将来起こりうるべき脅威に対し、対抗する力になり得るかも知れません。

出展者

Steven Hirsch

1948~

フォトジャーナリスト。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ニューヨークがロックダウンする直前の2020年3月20日(自身が外出自粛を始めた日)から、パンデミックやそれによって変化した生活を描写した絵を連日独学で描き続けている。本展が日本初公開となる。 

長 恵

1942~

広島県内の福祉施設にて、障がいのある人たちの表現活動の支援に携わる。2007年に退職してからは、自宅にて絵を描き始める。クリスチャンとして、自分の生い立ちを描いた詩画や、独特な体型をした「天使」の絵画などを制作。

景山 八郎

1937~

中学卒業後、独学で研究をすすめる中で、天体の発見やロケット設計などに携わる。58歳の時には隕石に不思議な力があることを発見し、62歳で東京都新宿区に「宇宙村」をオープン。本展では、テレパシーで描いた宇宙人の絵画を展示。

宮前 一明

1960~2018

オウム真理教元幹部。2008年の死刑確定後より、筆ペンで山河や鳥を描き始める。拘置所内で限られた画材を駆使して、毎年「死刑囚表現展」に応募し、多彩な表現を披露していた。2018年、死刑執行。

Chim ↑ Pom

2005~

2005年に東京で結成されたアート・コレクティブ。2011年、福島第一原子力発電所事故から1か月後に原発付近の東京電力敷地内で撮影された映像作品『REAL TIMES』を上映。

木下 今朝義

1914~2014

6歳でハンセン病を発症し、17歳のとき、強制隔離政策により熊本にある「国立療養所 菊池恵楓園」へ隔離収容され、99歳で亡くなるまでそこで過ごす。1953年に施設内で発足した絵画クラブ「金陽会」にて、60歳を過ぎてから絵を描き始めた。

栗田 淳一

1988~

大学在学中に調子を崩し、躁鬱病の診断を受ける。2014年1月より、本格的に絵を描き始め、翌年から滋賀県甲賀市の「やまなみ工房」へ通っている。不気味な絵や立体造形は、調子の悪いときに自傷行為の代償として制作している。

新型コロナウイルス感染症への対応につきまして

にしぴりかの美術館では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため以下の対策を講じています。

  • 入り口付近に消毒液を設置しお客様にご利用いただけるようご案内いたします。
  • 非接触型体温計により検温を実施しています
  • 万一の場合、感染拡大を防止するために記名をお願いしております。
  • 美術館内には空気除菌装置を設置する他、消毒液などによる清掃を強化するとともに清掃頻度を増やします。
  • 展示室内が過度に込み合わないよう、入場の制限をかけるなど、館内環境に配慮します。

ご来館の皆様へのお願い

  • こまめな手洗いにご協力をお願いします。消毒液を設置しておりますので、ご利用下さい。
  • 入り口に非接触型体温計による検温を実施しておりますのでご協力ください。
  • ご用意が可能なお客様はマスクの着用をお願いいたします。マスクは美術館でも準備させていただきますので、お忘れの場合はお申し出ください。
  • 近距離での会話は、飛沫感染の恐れがありますので、マスク着用などにより飛沫拡散防止にご協力願います。
  • 万一の場合、感染拡大を防止するために記名をお願いしておりますのでご協力ください。
  • 以下のお客様につきましてはご来館をお控えいただきますようお願いいたします。
      • 37.5度以上の発熱や咳、くしゃみ、鼻水など風邪の症状があるお客様 (展示室内等で激しく咳き込まれるなど、風邪のような症状のある方には、スタッフがお声がけし、ご退出をお願いする場合がございます。)
      • ご家庭や職場、学校など身近に新型コロナウイルス感染症の感染者もしくは感染の可能性のある方がいらっしゃるお客様
      • 体調がすぐれないお客様
    • やむを得ず、展示室内の混雑を緩和するため、入場制限を行う場合がありますので、あしからずご了承願います。

    感染防止対策のためにご協力いただきました個人情報につきましては他の目的に流用しないことをお約束いたします。

    なお、感染症拡大によりやむなく展示を中止する場合もございます。その際は本ホームページやSNSなどを通じまして皆さまにご連絡させていただきます。その際はなにとぞご容赦くださいますようお願い申し上げます。

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