不断ノ表現展
2022/03/15 2022/08/21
11:00 ~ 17:30
休館日:毎週木曜日
2022/03/15 2022/08/21
11:00 ~ 17:30
休館日:毎週木曜日
わたしたちが普段、あたり前のように使っている「普段」とは近年になってからの当て字で、当然のように毎日変わりなく繰り返される状態を、もともとは「不断」と表わしていました。民藝運動の父である柳宗悦は、それまで美の対象として顧みられることのなかった工芸品や雑器、下手物(げてもの)と呼ばれる不断使いの安価な雑器の中に「健康の美」や「平常の美」、「用の美」といった「美」の相が豊かに宿ると述べています。
自然からの恵みを材料に、地域の生活様式に応じて作られる工芸品は、その気候風土を生きることによって生み出され、育まれてきたものです。美しく豊かな反面、時に絶対的に厳しく苛酷なそれぞれの土地の、人智を越えたむき出しの自然と共に生きる確かな手だてとして、不断使いの工芸は生み出され、そこに「美」が実現してきたのです。
ところで、わたしたち一人ひとりの存在もまた遥かなる自然の一部です。医学や科学が発達し、心身の仕組みへの理解、解明が進む現在ではありますが、いまだに未知未開の底知れぬ深さを孕み続けています。閉塞的で生きにくい現代社会においては、時に内奥にある野性がうずき、抗うかのように表出してくることがあります。人が創り出す世界観と、ありのままの自然の在りようとの差異による裂け目から、内包していたはずの自然の深淵が顔を覗かせてくるのです。
天地がひっくり返るほどの暴風雨の中、そのあまりの凄まじさに翻弄されながらも自身の存在と向き合い、今日この日をやり過ごすために、あるいは今この瞬間を切り抜けるために続ける、生命の表現活動があります。売るためではなく、展覧会に出品するためでもなく、ただただ自らを癒し支えるため、病いと共に生きるための確かな手だてとして日々の制作、表現の営みがあるのです。
今回、〈造形教室〉を代表する表現者、島崎敏司さん、江中裕子さん、長谷川亮介さんの、不断の日常的な制作の中から紡ぎ出された小品の数々を展示いたします。柳宗悦がもし来場したならば、おそらく「美」の相がそこかしこに宿っているのを発見するであろう「不断ノ表現」を、是非ご覧下さい。
私がコラージュに没頭し始めたのは入院中のたばこ室に置いてあった雑誌からでした。ですから初期の作品はB5とかA4とかの雑誌サイズの作品が多いです。楽しくてたまらなくて、朝4時に起きて、ナースセンター の灯りの下で夢中で創っていました。
普段から絵を描く時はほとんど何も考えずに描き始めます。描いていくうちに段々と絵が見えてきます。画材も色々なものを使います。パステル、蜜蝋、ボールペン等を使い、ほとんどが抽象画を描くことが多いです。その日その時の気持ちで画材を決め、画用紙に向かって黙々と描いています。最近になって自分なりに分かったことがあります。絵の描き始めは、この絵はあまり良い絵にはなりそうもない、と思っても描き込んでいくうちに案外と自分で気に入った作品になる時がある、ということです。近頃はド近眼と老眼に悩ませられながら描いている始末ですが、これからも末永く描き続けていくつもりなので、よろしくお願いします。
これらの作品は、家で描いた作品です。モチーフはもっぱらミュージシャンでした。僕は、病気の始めの頃、たばこの本数を1日に5本にしていました。とても時間がもたないので、絵を描くことにした訳です。どれも後に人に観てもらうとは思っていませんでした。ただ家族で1人だけ、僕を見てくれる母のためだけに描きました。こんなにたくさん描きましたけど、後に〈造形教室〉では油絵やアクリル画に画材は変わっていきました。こうして展示していただけて、とても嬉しいです。みなさんも絵を描いてみて下さい。自由に描いてみて下さい。僕もそのうちみなさんの絵を観にいきます。
不断ノ表現展に出展されている方の作品集を美術館内にて販売しております。その他関連書籍もあります。
作品集・書籍は美術館に入ってすぐ左手にありますのでご覧いただければと思います。尚、書籍のお会計は街の喫茶店内レジとなります。
にしぴりかの美術館では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため以下の対策を講じています。